『彼女がそれも愛と呼ぶなら』のもう一人の脚本家・上野詩織さん。
派手な演出はないのに、心を揺さぶる言葉が画面の隅々に散りばめられているのが彼女の脚本の魅力です。
本記事では、上野さんの作風や『彼女がそれも愛と呼ぶなら』での脚本上の貢献を、視聴者の感想とともに深掘りします。
この記事を読むとわかること
- 上野詩織さんの脚本スタイルと感情表現の特徴
- ドラマ内での“言わないことで伝える”演出手法
- 視聴者がどこに共感し、どこで揺さぶられたのか
- ポリアモリーというテーマの“自然な描写”の理由
物語を“語らない”ことで語る脚本家
『彼女がそれも愛と呼ぶなら』の脚本を手がけた上野詩織さんは、余白と沈黙、そして繊細なセリフで人の心を揺らす脚本家です。
物語を説明しすぎず、人物の呼吸の中に感情を滲ませるそのスタイルは、「静かな脚本」の代表格とも言えるでしょう。
感情を“セリフではなく空気”で描く
上野さんの脚本には、明確なセリフでの感情表現が少なく、むしろ「言わないことで伝える」力に満ちています。
特に本作では、伊麻や氷雨、到の“心の間”を活かした会話が印象的です。
その“間”は、不器用な愛情や言葉にできないもどかしさを、自然に浮かび上がらせています。
感情の“グラデーション”を描くのが得意
上野さんの脚本は、明確な白黒ではなく、グレーゾーンの感情を豊かに描き出すことに長けています。
喜びと寂しさ、安心と不安、好きと嫌いのはざま。
伊麻がどの恋人に対しても100%寄り切れないその「揺らぎ」が、まさに上野さんらしい脚本の手触りです。
キャラクターの“独白”ではなく“行間”にドラマがある
視聴者からは、こんな声がありました:
「登場人物が何を考えてるのか、わからない。でもそれがリアル」
「わかりすぎないことで、自分の感情を重ねられる」
上野さんの脚本は、キャラクターがすべてを語ることを避け、視聴者自身の解釈を尊重するような設計になっています。
“静けさ”の中にある痛みと優しさ
本作を通して感じられるのは、静けさの中に息づく「感情の振幅」です。
叫ばなくても、泣かなくても、声にならない想いが画面越しに伝わる。
それは脚本という土台が、繊細に感情を編み込んでいるからこそです。
“多様な愛”を語るのではなく、そこに“居させる”脚本
ポリアモリーというテーマを、上野さんは説明しすぎることなく描いています。
「そういう形の愛もあるよね」と頭で納得させるのではなく、
「この人たちの在り方、なんかわかるかも」と心で寄り添わせてくれる。
それが彼女の脚本の最大の魅力なのかもしれません。
最後までお読み下さりありがとうございました。
この記事のまとめ
- 脚本家・上野詩織さんの作風や魅力を紹介
- 『彼女がそれも愛と呼ぶなら』での感情描写の繊細さに注目
- 説明ではなく余白で語る脚本スタイルの特長を解説
- 静かなセリフと間で“多様な愛”を自然に描いた手腕に迫る
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